水と大地のエネルギーシステム1

1 社会的背景と目指すべき建築および街、地域、等

地球温暖化ガスの急激な上昇による気候変動が、今までにない大規模な災害の発生や生物の多様性が阻害され、持続可能な世界の存続が危ぶまれる時代になってきている。

より快適な生活環境を維持するために建築のシェルター機能が強固にものに変化してきている今日、外部への閉鎖的、不連続な増加してきている。

持続可能な世界を作るための新しい環境建築が、生活を屋外空間から切り離し、自然との関わりや人と人とのつながりを失わせている。

エネルギー利用の在りかたを見直し、生活スタイルを改めるための新しい考えがもとめられる。環境が作りだす状態を広い意味で捉え直し、生き物が豊かに生きられるための状態こそ、守り持続しなければならない環境と考え、そのための仕組み、システム、を新しい建築として、製品化する。


2 製品の概要


自然エネルギーである太陽光の熱エネルギーを最大限生かした新しいエネルギーシステムが建築的な空間の(住宅または小屋それに類する小規模な建築からドームと称される大規模な建築まで)用途、工法、構造、規模などを限定しないしくみとしてあらゆる建築、ないし空間に応用される製品となる。その仕組みを使うことで、温熱環境の構築に関わるエネルギーは自立し、補助的な従来機器も不要となる。


本製品の基本的な技術は下記3項目によるもので、自然エネルギー100%の開かれた建築を可能にする。


① 土壌蓄熱システム

・地下5mは、年間の平均気温に近い温度で安定している

・地下温度は、相対的に夏は冷たく冬は暖かい

という土壌の特徴を、蓄熱材かつ断熱材として利用するシステムである。

土壌蓄熱は、熱伝導性が小さく、熱容量が大きく、また、大地の土壌をそのまま利用し、廃棄物もなく、化学的にも安定していて有利な面が大きいが、土壌への熱伝導の高効率な仕組みが必要である。

蓄熱装置としての効率はその体積と表面積の割合が関係するため、その大きさが大きいほど、高効率な蓄熱装置になる。

土壌は断熱材としても機能し、蓄熱部分と断熱部分は、一体となり機能する。

大地自体の持つ温度の恒常的な性質を利用し、無限の大きさがある大地の断熱性と蓄熱性を活用し、温熱源として効果的に取り出す仕組みである


② 水による高熱容量可変システム

水をコアに用いて温熱環境を安定化させる。

水の最大の利点は、一瞬にして熱エネルギーを破棄することが可能な点にある。

輻射伝熱の最大の欠点である可変する能力が劣る点を一新する材料となる。


③ 輻射伝熱による環境構築システム

空気温度の管理ではなく、壁面の温度管理を重視する考え方で計画する。

換気回数の多さにもエネルギー効率の低下を最小限に抑えられ、開かれた建築への計画にフィットする。



3 一般的な高気密高断熱100m2平屋での月別エネルギー収支


下のグラフのように、12月〜3月は「獲得エネルギー < 損失エネルギー」となってしまい、太陽エネルギーだけでは賄えない時期がある。



つづく